<カスタマーハラスメントの被害状況>

厚生労働省が令和2年度に行った調査では、全国の企業・団体に勤務する20〜64際の男女労働者のうち、15%が過去3年間に勤務先で顧客等からの著しい迷惑行為を経験していることがわかりました。

厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000899376.pdf
<カスタマーハラスメントとは>

「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」がカスタマーハラスメントであるといわれています。

つまり、以下の2つがカスタマーハラスメントの判断基準と考えられます。

① クレームや要求の内容が妥当性を欠くこと

例:企業が提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合、または要求の内容が提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合など

② 手段・態様が社会通念上不相当なもの

例:身体的な攻撃、精神的な攻撃、土下座の要求、継続的又は執拗な言動、拘束的な言動、性的な言動など

<カスタマーハラスメントに関する規定>

現在のところ、カスタマーハラスメントに関して事業主に何らかの義務を課する規定はありません。ただし、厚生労働省が定めるパワーハラスメントの防止に関する指針において、以下の記載があります。

事業主は、取引先等の他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)により、その雇用する労働者が就業環境を害されることのないよう、雇用管理上の配慮として、以下のような取組みを行うことが望ましい。

(1) 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

(2) 被害者への配慮のための取組み(被害者のメンタルヘルス不調への相談対応、著しい迷惑行為を行った者に対する対応が必要な場合に1人では対応させない等の取組)

(3) 他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為による被害を防止するための取組(マニュアルの作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)

「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)

 つまり、事業主は、カスタマーハラスメントが発生した場合、または発生する前から事前に、カスタマーハラスメントに対する対応を準備しておくのが望ましいといえます。

<カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組み>
  • カスタマーハラスメントを想定した事前の準備

① 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発

会社は、カスタマーハラスメントから、組織として従業員を守るという基本方針・基本姿勢を伝えることが重要です。

② 従業員のための相談対応体制の整備

カスタマーハラスメントを受けた従業員が相談できるように相談対応者又は相談窓口を設置する必要があります。また、相談したことで不利益な扱いをしないことも従業員に周知する必要があります。

③ 対応方法、手順の策定

カスタマーハラスメント行為への対応体制、方法等をあらかじめ決めておくのが有効です。

④ 社内対応ルールの従業員等への教育・研修

顧客等からの迷惑行為、悪質なクレームへの社内における具体的な対応について、教育及び研修を行うのが有効です。

  • カスタマーハラスメントが実際に起こった際の対応

① 事実関係の正確な確認と事案への対応

カスタマーハラスメントに該当する事実の有無について、事実を確認して対応する必要があります。顧客からの不当な要求に安易に応じることは、問題の解決にならない可能性があるので、注意が必要です。

② 従業員への配慮の措置

カスタマーハラスメントに対しては、その従業員に任せるのではなく、会社として対応する必要があります。また、被害を受けた従業員の心のケアについても、相談対応者又は相談窓口を中心に行っていく必要があります。

③ 再発防止のための取組

同じようなカスタマーハラスメントが起きないように、実際の事例をもとに対応策を検討する必要があります。

④ プライバシーへの配慮など

被害を受けた従業員のプライバシー等に配慮して、上記の取組を行う必要があります。

<カスタマーハラスメント対策に取り組むことによるメリット>

カスタマーハラスメント対策に取り組む企業では、対策に積極的に取り組むことによって、以下のようなメリットがあるとの報告があります。

● 業務への影響

複数名で状況を把握できるようになり、迷惑行為を迅速に確認し、対応できるようになりました。

対応方法を明示することで従業員が働きやすくなりました。

顧客対応のノウハウを整理でき、経験を培うことができました。

顧客対応に関連する訓練、研修の受講後は落ち着いて対応ができるようになりました。

● 従業員への影響

職場環境が明るくなった、従業員から笑顔が出るようになりました。

会社としてカスタマーハラスメントに対する姿勢を示したことで従業員の安心感が生まれました。

● 職場環境への影響

会社にとって好ましくない客が、来にくくなりました。

迷惑行為をする人が少なくなり、職場環境が良くなりました。

<まとめ>

カスタマーハラスメントにおいて、最も大事なのは、会社として従業員を守るという基本方針だと思われます。そのような基本方針・基本姿勢をしっかりと従業員に伝え、相談体制及びマニュアルを整備するとともに、必要があれば研修を行ってカスタマーハラスメントに準備していく必要があります。

このような事前の準備によって、従業員には安心感が生まれ、カスタマーハラスメントの問題が深刻化するのを防ぐことができます。皆さんの会社もカスタマーハラスメント対策に積極的に取り組んでみられてはいかがでしょうか。

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