「従業員は、働き甲斐をもとめている。顧客に信頼され、頼りにされて、人の役に立っているという実感があることは、大いに働き甲斐につながる。」(松村清)。

<働きがい=仕事のやりがい+働きやすさ>

「働きがい」とは何か。この点、GPTW(Great Place to Work)は、「働きがい」を以下のように定義しています。

ここで、仕事のやりがいというのは、仕事に対するやる気やモチベーションのことで、「顧客に信頼され、頼りにされて、人の役に立っているという実感」などもここに含まれます。そして、働きやすさというのは、就労条件や報酬条件など快適に働き続けるための環境のことです。

この2つが組み合わさって、「働きがい」につながると考えられています。

<「働き方改革」>

現在、厚生労働省が推進している「働き方改革」は、①長時間労働の是正、②正規、非正規の格差解消、③多様な働き方の実現という3つの柱によって成り立っており、「働きやすさ」に関する施策です。

「働きやすさ」は、制度の問題として考えることができるため、目に見えやすく、取り組みがしやすいのです。

<「仕事のやりがい」も向上させる必要がある>

「働きやすさ」を向上させても、「働きがい」が向上するとは限りません。そこで、「仕事のやりがい」も向上させる必要があります。しかし、「仕事のやりがい」は、目に見えにくく、取り組むのは容易ではありません。

この点、「顧客に信頼され、頼りにされて、人の役に立っているという実感」とは、①「認められている!」という感情(社会的承認性)②「自分はできる!」という感情(自己有能性)のことだと思われます。そして、自らの仕事によって信頼という結果を得たという点は、③「自分で決める!」という感情(自己決定性)と深く関連します。

<職務設計の中核五次元>

①社会的承認性、②自己有能性、③自己決定性を得られる仕事について、「職務設計の中核五次元」と呼ばれる考えがあります。以下の5つの要素を満たす仕事は、「仕事のやりがい」が高まるという考えです。
・ 様々なスキルを活かせる(スキルの多様性)
・ 仕事の全部に携われる(タスクアイデンティティ)
・ 仕事に意義を感じる(仕事の有意義性)
・ 裁量権がある(自律性)
・ フィードバックがもらえる(フィードバック)

<従業員の期待と満足>

従業員の仕事を設計する際は、「職務設計の中核五次元」の考え方に基づいて、仕事を与えていくのが望ましいと考えます。ただし、例えば、技能実習生など持っている技能レベルが低い場合、スキルの多様性を求めても、それが本人の負担となり、かえって「仕事のやりがい」を感じられないという結果もあり得ます。

そこで、従業員の会社への期待従業員の満足を適切に把握し、従業員が会社に期待しているものの、満足を感じていない点について、重点的に対応していくことが望ましいと思われます。従業員のニーズを把握し、その能力などを踏まえ、仕事を与えることが、「仕事のやりがい」につながるのです。

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