外国人 × 労働 × 企業法務

<外国人材200万人時代の到来>

厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況」によると、2020年10月末の外国人労働者数は、172万4328人であり、日本で働く外国人材が200万人に達する日も近いものと思われます。

現在は、新型コロナウィルス感染症の問題で、外国人材の受入れは鈍化していますが、今後も外国人材の増加は予想され、外国人材を採用する、または採用したいという会社も増えていくものと思われます。それとともに、外国人材の働き方も多様なものになっていくことが予想されます。

<外国人材の類型>

現在、新潟などの地方では、「外国人材=技能実習生」という認識の会社が多いのではないでしょうか。しかし、外国人材は技能実習生だけではありません。2019年4月から新しく認められている特定技能もそうですし、高度外国人材というカテゴリーもあります。そこで、「外国人材」とは何なのかを確認しましょう。

まず、外国人が日本に滞在するためには、かならず1つの「在留資格」を有しているのが原則です(一在留一(在留)資格の原則)。日本には、現在、29種類の在留資格が存在し、永住などの「居住資格」と技能実習などの「活動資格」に分けることができます。その中で、日本で働くことができる在留資格の代表例は、以下のとおりです。

次に、企業が外国人材を採用する際に申請することが多い在留資格について、縦軸に技能水準をとって図式したものが以下の図です。

このように、外国人材といっても、様々な類型があることが分かると思います。

<単純労働の担い手>

日本では、バブル期になると、単純労働の担い手を確保するのが困難となり、非正規滞在者を労働力供給のバックドアとして利用してきた経緯があります。その後、単純労働の担い手は、研修生、日系人二世・三世と移り、2008年に政府が「留学生30万人計画」を発表し、また、2009年の入管法改正により技能実習の在留資格が創設されて以降は、留学生と技能実習生が単純労働の担い手となっています。

そして、政府は、2018年の入管法改正により、「生産性の向上や国内人材確保のための取り組みを行なってもなお、当該分野の存続のために外国人材が必要と認められる分野」における労働力確保のため、特定技能の在留資格を新設しました。

<高度外国人材>

それとともに、技能水準が高い外国人材のカテゴリーとして「高度外国人材」と総称されるカテゴリーがあります。上の図では、高度専門職(1号・2号)や技能・人文知識・国際業務などの資格で在留する外国人材がこれに含まれます。

<貴社で外国人材を採用する理由は何ですか?>

貴社で、外国人材を採用したいと考えている理由が、単純労働の担い手ということであれば、技能実習、特定技能、留学生などを検討する必要があります。

もし、貴社に、海外進出、海外の顧客開拓、インバウンドの取込み、新しいビジネスシードの開拓、自社の国際化などの目的があるのであれば、日本人だけでなく、高度外国人材といった選択肢もあります。「会社のために必要な人材」は日本人だけなのでしょうか。外国人材も含めて考えれば、新しい可能性が見えて来るかもしれません。

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