分野:外国人材、労働

事例

外国人のAさんは、外国料理の調理師として「技能」の資格で10 年弱日本に滞在していました。Aさんには、妻と子ども(ともに「家族滞在」)がいました。Aさんは、別の会社に転職し、その後、行政書士を通して在留期間更新許可申請を行ったところ、不許可となり、3か月の「特定活動(出国準備)」の在留資格に変更となってしまいました。

その後、Aさん家族が当事務所に相談に来られたという事例です。

解決

Aさん家族の取次申請者として、Aさんについては、「特定活動(出国準備)」から「技能」へ、妻と子どもについては、「特定活動(出国準備)」から「家族滞在」への在留資格変更許可申請を行い、無事、在留資格変更許可が出されました。

解決のポイント

1 在留期間更新許可申請が不許可になった理由

このような事例では、不許可になった理由が最も重要です。
Aさん家族は、行政書士を通じて在留期間更新許可申請を行ったものの、不許可になってしまいました。その理由は、①Aさんが転職した会社での仕事が、Aさんが有していた「技能」の在留資格と合致しないこと、②Aさんが転職した際に、出入国在留管理庁に届出を行なっていなかったことだったと考えられました。

2 日本の在留管理制度の基本

日本の在留管理制度は、上陸を許可された外国人は、上陸時に決定された在留資格・在留期間の範囲内であれば自由に活動できるというものです。
この事例において、Aさんの上陸時に決定された在留資格は外国料理の調理「技能」であり、その範囲で自由に活動できます。
しかし、Aさんが転職した会社での仕事は、外国料理の調理以外の仕事も含まれており、その点が第1の問題でした。

3 出入国在留管理庁への届出

また、Aさんのように「技能」の在留資格で日本に滞在している外国人が、仕事を辞めたり、就職したり、転職したりする場合は、出入国在留管理庁への届出が必要とされています(罰則もあります)。
Aさんは、この届出をしておらず、これが第2の問題でした。

4 対応策の検討

これらの問題点を明らかにし、Aさん家族とともに、Aさんの外国料理の調理の「技能」を活かせるレストランの確保と労働契約の締結などを行い、レストランに関する報告書やAさんに関する事情説明書、反省文などを作成し、在留資格変更許可申請を行いました。

5 在留資格変更許可

この事例では、無事、在留資格変更許可が出されました。
外国人の皆さんや外国人材を雇っている会社などは、日本の在留管理制度をしっかりと理解し、出入国管理及び難民認定法の規定に従った事務処理を行う必要があります。
それでも、万が一、申請が不許可などになった場合は、あきらめずに入管の手続に詳しい専門家に相談するのが良いと思います。

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