分野:労働

事例

東京の外資系の会社に勤めているAさんは、上司から、Aさんが担当している商品の売上が悪いなどと指摘を受け、かつ、今、退職すれば退職金を多く出せるから退職しなさいと言われました。Aさんは、納得できなかったため、退職を拒否したところ、新潟営業所への転勤を命じられました。数年後、会社は、Aさんの新潟営業所での成績が悪いという理由でAさんを解雇しました。

解決

Aさんは、新潟地方裁判所において、会社を相手に労働審判を提起し、解雇は違法・無効なものと主張し、未だAさんは会社の従業員であるという地位確認と慰謝料の支払いを求めました。

その後、労働審判の手続の中で、解雇は違法・無効であるという前提で和解(金銭解決)をすることができました。

解決のポイント

1 解雇理由の確認

まず、このような解雇の事例では、解雇の理由を明らかにする必要があります。解雇予告がされた日から退職の日までの間、従業員は、会社に対し、解雇理由証明書を出すように請求することができ、この請求があった場合、会社は解雇理由証明書を交付しなければなりません(労働基準法22条2項)。

解雇予告を受けた場合、まずは、解雇理由証明書を会社に請求し、解雇理由を明らかにし、その解雇理由が就業規則などの規定に該当するのかを確認する必要があります。

2 解雇権濫用の法理(労働契約法16条)

客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、無効となります。これが解雇権濫用の法理といわれるものですが、今は労働契約法16条が条文で規定しています。

上記の事例では、Aさんの新潟営業所での成績が本当に悪かったのか、そして、解雇以外の手段により対応はなかったのか、解雇の手続は適切だったのかなどが問題となります。

なお、この点については、労務カフェ-解雇・その1-もご覧になっていただければ、幸いです。

3 労働審判

労働審判は、労働者と使用者との間で起きた労働問題について、労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名が審理する手続きです。原則3回以内の期日で事件を審理し、調停を試み、または審判を行う制度であり、迅速かつ適正な解決を図ることができます。

ただし、労働審判は、和解(金銭的解決)を目指して実施されることが多く、職場復帰を目指す場合は、別の手段も検討しなければなりません。

4 まとめ

退職強要にあった。突然、解雇といわれた。

その悔しくて、不安で、やるせない気持ち、受け止めます。

そのような場合は、是非、労働問題に詳しい弁護士にご相談ください。

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